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開発ストーリー

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北陸で新たな素材を
生み出すという挑戦

QUARTECH(クアルテック)に関心をお持ちいただきありがとうございます。北陸で繊維業に携わっている私たちがなぜこの素材を開発したのか、どんな思いで作っているのか、三洋貿易との共同開発素材「QUARTECH」にまつわる背景を少しばかりお話しさせてください。

これを読んでいただいて、深刻さを増すばかりの環境問題と、それに対する私たちの取り組みについて少しでも知っていただけたら嬉しく思います。

森常株式会社 代表取締役 社長

森 常英

prologue 1

繊維業の中心地・北陸

日本の織物の大部分は北陸地方で作られています。そんな北陸で繊維業を営んでいる企業のひとつが、石川県にある、私たち森常株式会社。1948年の創業以来、75年以上にわたって糸の染色・加工全般を手がけています。

バブル期以降、日本の繊維産業は縮小傾向となり、地元をともに支えてきた仲間のなかには閉業してしまった会社もありました。それでも「自分たちにしかできないことがあるはずだ」という気持ちで、優れた素材作りに取り組んできました。

prologue 2

約40年間に渡って本革を
取り扱ってきた専門商社

三洋貿易株式会社は長年本革の輸入販売に携わり、お客様へ高品質な本革をお届けしてきた専門商社です。しかし近年、革製品を取り巻く環境は大きく変わり、畜産や皮の加工による環境負荷、動物愛護といった理由から、本革離れが見られるようになってきました。

また、本革の代替素材として地位を確立している合皮(合成皮革)による環境負荷の問題も取り沙汰されています。石油や様々な薬剤を組み合わせて作られる合皮は、使用後のリサイクルができず、欧米では規制されはじめている国もあるくらいです。素材を取り巻く環境の変化に対応するため、三洋貿易も新しい何かを迫られていました。

decision

本革でも合皮でもない
新素材を

「自分たちが長年やってきた繊維の技術を生かして、何かできることはないか?」気づいたらそんなことを考えていました。そこで三洋貿易株式会社と力を合わせることに。国内外の希少性の高い商材を扱う、とても頼れるパートナーです。

そして革の風合いと機能性、環境への優しさを兼ね備えた、まったく新しい素材を作る決断をしました。「繊維から、まるで本革のような生地をつくる」私たちの挑戦のはじまりです。

challenge

新たな挑戦の連続

繊維業界は分業体制が確立されており、私たちはこれまで糸の染色や加工といった上流の工程を担ってきました。対して今回の新素材では、糸から生地ができあがるまでの工程をすべて一手に引き受けています。これは従来の業態を大きく変える取り組みで、「とにかく手探りでやってみよう」の連続でした。

また生地の状態で出荷するということは、これまで以上に消費者のみなさまに近い立ち位置で仕事をするということ。プレッシャーの大きさも比べものになりません。それでも「世界にインパクトを与えられるような新素材を作りたい」という思いで試行錯誤を繰り返しました。

potentiality

無限の可能性を秘めた
「第4の素材」

開発した素材は織物ですが、加工によって質感が大きく変わります。本革のように高級感のある風合いをだすことも、合皮に匹敵する優れた機能性を持たせることもできます。

ファブリック・本革・合皮という3つの素材とは違っていながら、カスタマイズ次第でそれらに近づくことができる。そんな可能性をもつ「第4の素材」。誰かがふと口にした、そんな意味を込めて「QUARTECH」と名付けました。

eco-friendly

現代に求められている
環境に優しい素材

QUARTECHは高品質なポリエステル繊維でできており、使い終わったら再びリサイクルが可能。SDGsという言葉が定着しつつある今の時代に合った素材です。QUARTECHの普及は、環境保全に貢献することとイコールだと考えています。また企業が製品の材料として導入することで、環境に対する姿勢を示すことにもつながります。

少しでもたくさんの方にQUARTECHを知っていただくことで、また使っていただくことで、地球を守りたい。それが私たちの思いです。